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群馬県地元紙「上毛新聞」に自伐型林業グループの活動が紹介されました。

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群馬県で最も購読者が多い約30万部を発行する日刊紙「上毛新聞」に9月30日、「自伐型林業」を実施するみなかみ町と町内のグループの活動が紹介されました。

■負担軽く参入容易 注目高まる自伐型林業《ニュース最前線》
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/politics/82734


(写真:ネット紙面より転載)

◎この手で自然生かす コスト抑えて山林整備(上毛新聞 9月30日付)

 大きな機械を使わず、コストを抑えた「自伐型林業」が注目されている。全国で相次ぐ土砂災害を受け、山林の持つ保水力や林業の価値が見直される中、従来の林業モデルよりも参入しやすく、長期運営が可能な上、環境保全にも結び付く点が評価されている。

 狙い目となるのは林業の大規模化によって置き去りにされた中山間地域だ。山林所有者や住民は限られた範囲の山林だけを管理するため、チェーンソーや軽トラックなど、少額の設備投資で参入できる。これまでのような森林組合への委託費や大規模機械の維持費は不要。時間と経費の両面でメリットがあることから兼業も可能という。
 群馬県内ではみなかみ町が先陣を切り、チェーンソーを使って木を切り出す研修会や説明会を開いて参入を促す。新しい林業の試みを追った。

<リフレッシュ>

 チェーンソーのエンジン音が響くみなかみ町の山林。パキパキと音を立てながら1本の木がゆっくりと倒れていく。黙々と作業をしているのは原沢真治郎さん(55)=同町布施。町内で自伐型林業に取り組むLINKERS(リンカーズ、石坂一美代表)の発起人だ。

 原沢さんの本業は公務員。代々受け継いだ山林があるが長年整備できずにいた。「なんとかしないといけないな」。気に掛けていた時、NPO法人自伐型林業推進協会(東京)の中嶋健造代表に出会い、「これなら自分にもできるかもしれない」と決意。周囲に声を掛けて昨年3月、リンカーズを立ち上げた。

 現在は20~60代の男女28人がメンバーで、所有する山林や周辺の間伐を行う。活動が2年目に入った今年は5ヘクタールを整備し、市場単価を意識した切り出し技術を磨くことなどを目標にしている。

 「山で木を切るのは楽しい。事故がないように集中しなければならないから、余計なことは考えない。それが心身のリフレッシュにもなる」と林業の魅力を話す原沢さん。自ら山林を整備することで地元の豊かな自然を守り、次の世代につないでいきたいと展望する。


(写真:ネット紙面より転載)

<委託費より割安>

 山林の所有者は、プロの集団である森林組合や民間会社に伐採などの作業を委託しているケースが多い。ただ、小規模な山林の場合、委託費などを考えると採算が合わず、放置している所有者も少なくない。

 自伐型林業は高価な大型重機ではなくチェーンソーや軽トラックなどを使うため、コストを抑えられる。委託費を払うよりも割安なので、取り組みやすいのが利点とされる。

 みなかみ町が自伐型林業に着目したのも、こうした背景があるからだ。町内では10ヘクタールに満たない所有者が95%以上を占め、かつては薪や炭として使われていたものの、現在は手つかずの山林が多い。森林保護の一環で、2016年に自伐型林業の研修会を始めた。

 8日間の研修では、チェーンソーの使い方や木の切り方といった基礎的な内容から、より価値を生む造材方法、木材を搬出する効率的な作業道の確保の仕方など、林業技術全般を教える。チェーンソーを取り扱うために必要な技能特別教育修了証を取得できるほか、所有者や地域住民が山林の将来を考えた長期経営について考えるきっかけにもなっている。

 これまでに県内外の100人が参加、関心度の高さがうかがえる。今後は研修を受けた人などを対象に、さらなる技術向上を目指すフォローアップ研修なども考えているという。

<チャレンジ精神>

 副業としての側面にも熱い視線が注がれている。今年4月に発足した団体「モクメン」(宝利誠政代表)は、普段はアウトドアガイドをしている宝利さん(42)、中山悠也さん(35)、須田建さん(29)、入沢仁さん(26)の4人で結成した。真夏や真冬などのアウトドアシーズン以外の閑散期に、安定した収入を得る手段として林業を選んだ。

 メンバーは冬の間、山でスキーを楽しむことが多く、荒れた山林の様子にがっかりすることもあった。4人とも林業の経験はなかったが、「山を守ることがアウトドアにつながる」と考え、町の研修会に参加し、技術を学んだ。修了後は既に活動している他団体に交ざり、経験を積んだ。

 宝利さんは「林業もアウトドアもやってみることが大事。チャレンジ精神で通じる点がある」と話す。本格的な始動は10月から。雪が深くなる12月ごろまで活動し、来年は春先の活動も考えている。「アウトドアと林業で、1年の良いサイクルをつくっていきたい」。まだ手探りだが、しっかり先を見据えている。 (9月30日付上毛新聞より転載)

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