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「84自伐フォーラム」に230人参加 若手自伐型林業家ら「地域防災の最前線で任されている」

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 8月4日、高知市で「84(はちよん)自伐フォーラム」が開催され、会場には満席となる230人の参加者が集まった。

 フォーラムは、デザイナーの梅原真さんが代表を務める「84プロジェクト」と自伐型林業推進協会が共同で開催(協賛・四国銀行、良品計画、土佐の森・救援隊)。「もうかる林業。」をテーマに熱い議論を交わした。

 梅原氏は、84プロジェクトの名前の由来となった84%という日本一の森林率である高知県を引き合いに出しながら「自伐で(生産が)間に合うんか」と問題提起。一方で、高知の名物料理であるカツオのタタキに触れながら「30年前、一本釣りのカツオは効率が悪いと言われてきた。でも時代は変わった。今は一本釣りのカツオの塩タタキを食べるために高知県に観光客が来る。持続しながらいい森をつくり、そこに人が集まってくる」と話した。

 自伐協代表理事の中嶋健造は、現在の日本では接着剤で張り合わせる集成材用の木材(B材)や、チップ等に用いられるC材に偏って生産している現状を解説。自伐型林業による持続可能な森づくりを広げ「日本はA材、無垢材で勝負しなければならない」と訴えた。

 第二部の「『ジバツ』な人々登場!」では、全国から集まった6人の林業家が登場。北海道、鳥取、島根、高知などの自伐型林業の実践例を紹介した。また、北海道の白老町の大西潤二さんは「2016年に北海道自伐型林業推進協議会を設立して、2017年度の研修事業の参加者は約100名になった」と報告した。

 ベテラン林業家として登場した奈良県吉野町の岡橋清隆さんは「木だけが生えてても価値はありません。自分で伐って出す力がないと資産にならない」話し、徳島県那賀町の橋本光治さんは、会場に集まった参加者に「林業をやろうと思ったら道を入れてください。絶対に壊れない道づくりを」とアドバイスした。

 四国や中国地方に大きな被害を出した西日本豪雨についても報告があった。鳥取県智頭町では、町内の林道の8割が被害を受けたが、同町の大谷訓大さんは「3日間降り続いて尋常ではない雨だったが、過去に付けた道で大きく崩れたところはなかった」と報告。同じく島根県津和野町の田口壽洋さんも「崩れているところも手作業で直せる程度」だったという。高知県も林道の被害が多かったが、同県佐川町の滝川景伍さんも大きな影響はなかった。今回の豪雨を通じて、林業を営むことは「地元の人たちの命を地域防災の最前線で任されているんだと思った」と語った。

 第三部では、自民党の中谷元衆院議員、良品計画の金井政明会長、日本の森を守る地方銀行有志の会アドバイザーの見山謙一郎氏、毎日新聞の本間浩昭記者が登壇。中谷氏は「(豪雨災害が起きると)予算を増やせ、河川や治山をやれという話になるが、そういう話だけではない。やはり、人の力でいかに強い山を作るか。中嶋さんの言う『今の林業のやり方では山が荒れる』と言っている意味がわかった」と述べた。

 また、本間氏はジャーナリストの視点から自伐型林業の面白さを分析。北海道での大規模農業が生物多様性を失わせている可能性を指摘しながら、「大量生産・大量消費はいいことだという考え方で生きてきた。大きいことは幸せなのか」と問題提起。さらに「大きいことは高速道路を料金を払って走っているようなもの。小さなことは、けもの道を歩いて行く楽しさがあって、自分で学んでいくという発見がある」という。そのうえで「自伐型林業はあちこちに良いウイルスをまき散らしている」と解説した。

 金井氏は、「私たちは『ローカルから始める未来』と考えている。自分たちの生き方、人と人の関わり、人と自然の関わりを考えて、(無印良品は)いろんな地域とつながっている。こういった会がもっともっと広がってほしい」と話した。

 見山氏は「フォーラムのテーマの『もうかる林業』は『もう刈るの?』という意味も入っているのではないか。今後は、自伐型林業の機能性を訴えるだけではなく、実装されたイメージを活性化させていくことが大切。中嶋さんと梅原さんが手を組んだことで、日本の林業の未来がある」と述べて会場の笑いを誘い、フォーラムを締めくくった。(編集・撮影:広報部)

※参加者から集まった質問への回答、当日の映像は現在制作中です。

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